福井大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学 教授 長谷川 稔
福井県立病院 看護師 宮嶋 仁美
福井大学医学部附属病院 内分泌・代謝内科 教授 原田 範雄
いまから12年前の2013年、長谷川稔教授が初めて福井大学医学部附属病院に着任したとき、皮膚科の医局員はわずか「8名」だった。関連病院への出向者2名を含めての人数だから、福井大学医学部附属病院に残った医師はさらに少ない。しかも年齢的には、医師になって10年以内の若手医師がほとんどいなかった。
当時、首都圏など都会の医療機関では皮膚科を選ぶ若手医師は多く、人気の高い診療科の一つであった。
福井県立病院は、高度急性期病院として地域医療をリードする存在だ。7つのセンター(中央医療センター、こころの医療センター、救命救急センター、母子医療センター、健康診断センター、がん医療センター、陽子線がん治療センター)を構え、三次救急医療や小児・周産期医療、災害医療、へき地医療などに幅広く力を注いでおり、県民の命と健やかな暮らしを守り続けている。
福井の中核となる医療機関で、県民に寄り添う医療の最前線に立つのが「看護部」である。多岐にわたる診療科で外来を担当したり、病棟で患者のケアにあたったり、救急救命の現場や手術室で医師をサポートしたりと、院内の多種多様なフィールドで活躍している。
糖尿病は紛れもなく国民病だ。高齢化や食生活の変化などに伴い、患者数は増加している。疑いがある人まで含めると、日本人の5~6人に1人に相当する約2000万人が患っているとされている。福井大学医学部附属病院の原田範雄教授は、この国民病の改善に向けて心血を注ぐリーダーの一人だ。
実際、原田教授が現場で向き合う疾患の多くが2型糖尿病であり、同病院内分泌・代謝内科領域では入院患者の約8割が患っている。その治療には医師一人だけでなく、多くのメディカルスタッフとの連携が欠かせない。